祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

黄昏

仕事が終わり、夫のもとへいくと
今日は昨日よりさらに頬がこけて
うつろな目をしていました。
黄昏の部屋で
弱った身体を横たえている姿が
とても切なく思えた


病院に行く途中で、ホスピス病棟の
主治医の先生に会いましたが
今日から点滴減らしました
どうしても痰が多くて‥‥
本人も納得済みです、と言われました。


昨日より半分以下のような
小さな点滴がかかっていました。
昨日まではビーフリード
ブドウ糖やビタミンを含む輸液
今日はソリターT
水と電解質主成分の
体液バランスを整える輸液


もう栄養の段階ではなさそうです


入院前の主治医面談で
最初は点滴もしますが徐々に減らして
どこかでやめますと言われていたので
早い段階でここまで来ているなと
気持ちが沈みました。


夫はかろうじて絡んだ痰を出そうと
ガーグルベースをてにとるのですが
出す力は弱く、苦しそうなので
ナースコールしました。
吸引してもらいましたが
その後も、苦しいのか足をしきりに
動かしています。
ベッドを起こして欲しいと指差しで言うので
起こすと、ずっとガーグルベースを持って
はなしません。
気持ち悪いの?と聞くと
うなずくので、再びナースコール
ナースが2人来て、座薬を入れましょうと
処置してくれて、私は廊下で待ちました。
身の置き所のないターミナルの患者でした。
見ているのが辛い
でも、温かな血液の流れる手を取り
今日もラベンダーオイルでハンドマッサージと
足元も軽くマッサージしました。
しばらくして、少し目を閉じ始めたので
お薬効いてきたかな、と言ったら
静かに首を振っていました。


面会の決まりの1時間が来て
時間だから帰るね
明日も来るよ
私の夢見てね
もう一度手を取って
部屋を後にしました。
入り口のカーテン越しにもう一度見ると
こちらを見て手を振ってくれました。


ずっとそばにいてあげたい
子供の頃に病気の時は
ずっと母にそばにいてほしかったように
死の淵を歩く夫の
そばで一緒に歩きたい
その手が温かいうちに
いつまでも温もりを感じていたい


扶助者聖母マリア様
どうか、夫のそばにいてください


今日も感謝と祈りのうちに