祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

ゆく夏


秋の空に近づいてきました
夏がもうすぐ終わるから
風の色
空のかなた
真夏のそれとは違う
やさしい水彩画になってきた


どうしても1年前の今頃を
思い出してしまいます


仕事帰りに毎日のように通った
病室
窓から見える空が
日に日に高くなっていき
夕焼雲が悲しそうに見えました


父がいちばん苦しくつらかった
夏の終わりです
私たちにそれを訴えることはなく
静かに夏が幕をとじるように
秋風の中に旅立っていった父


きいてみたいことがたくさんある
報告したいことも・・・
私を見て静かに微笑む父は
今は何も語ってはくれません


1年がたつのが
とても早かった


先日、相続関連の手続きが終わったと
税理士さんが最後の訪問でやってきました
さまざまな手続きに時間がかかったけれど
気が付くともう1年を迎えようとしているのです


大切な人との別れは
どれだけの時間をもっても
心にある悲しみは消えることはないでしょう


「別れ」というできごとに
慣れることはできません


いつか通り過ぎていく大切な人のために
今日も祈りたい



今日も祈りのうちに