祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

1か月

9月3日であれから1か月が
過ぎました。
暑かった夏も過ぎ去る
そろそろ身近な人に
かたみ分けも考えようかな
手離すことができるかどうか


昨日は、夫のいつも使っていた
ライティングデスクに座って
デスクの中にそのままになっているものたちを
ながめていたら
小さなメモ帳がありました
病気をして以来、自分でリハビリのために
漢字や単語をメモしていました。
「有閑マダム」と「長閑な田舎」と
メモがあり、それぞれに振り仮名がついていました。
「閑」の字を考えていたのか
「ゆうかんマダム」と「なのかないなか」と
カナがふってあり
「なのか〜」じゃなくて「のどか〜」だよって
独り言を言いながら笑い
そのうちに涙
よく、漢字の読みや書き方のことで
呼ばれて、一緒に見たりしました。


数独も含めて、左手で書いたノートが
20冊近くもありました。
脳トレを一生懸命していた
記憶や能力を取り戻したかったのでしょう
もともと勉強家だったから
頭を冴えておきたい思いが強かったのです。


術後に右麻痺になり
ものすごく、気持ちが落ちて
よく泣いていました。
何度もこんな自分の側にいなくてもいいよと
自暴自棄にもなっていた
やがて主治医から失ったものをとりもどすのではなくて
残された力を使ってリハビリしましょうと励まされた
ことをきっかけに、左手で字を書く訓練をし
利き手ではない手で書いたとは思えないような
誰もが読める字を書けるようになりました。


5年の間にそのままの自分を受け入れて
生きる力をあたためていた


同じ病気を持つ人がこのブログにたどり着いたなら
どうか前を向いて、残された力を使い
残された時間を輝かせてほしいです。
夫は、欲も体裁もない
ただ自然の中で生きることを考えながら過ごした
病気の5年間が、人生の濃い時間に
なったのではないかとおもいます。


9月ですが
夫の部屋の日めくりカレンダーは
さいごに夫がセットした7月5日のまま
いつまでも7月5日のお部屋なのです。


今日も祈りのうちに