祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

秋の訪れ

いつのまにか秋になっていました。
暑い日もありますが
空は高く、日も短くなってきています。
暑かった夏が通り過ぎて行きました。
色々なことで走りまわった夏でした。


夫はこの世からいなくなり
私はこの世で生きている
どうして私だけ、この世で生きているのでしょう
そんなふうにふと思えてきます。
高い秋の空や
風にゆれるコスモスのお花
共有できなくて
ひとり胸にしまうこの世の美しさを
切なく思うこともあります。


夫は私達家族のいない場所で
どんなふうに過ごしているのでしょうか。


脳腫瘍という病気もなくなり
右麻痺も、言語障害もなくなりましたか?


どうして脳腫瘍になったの?
希少がんとも言われているのに
さいごを過ごしたホスピスでの2週間
あなたは何を考えていたのでしょうか。


夫は悪性膠芽腫で5年生きましたが
一番ノーマルな薬である
テモダールはアレルギーで一度くらいしか
使っていません。


オプシーボ(ニボルマブ)を治験で一度
それもアレルギーが出て中止
結局、ひと昔前のニドランの点滴は使えて
長く治療をしました。
再発してからはアバスチン
この薬がよく効いたのだと思う
本人も気に入っていたし
休みも入れて、長く使いました。


5年という時間をもらえたのは
ニボルマブが一度でも使えたから?
アバスチンがよくよくきいたから?


もっと色々と人生会議を
したかったね
あなたのお散歩コースに秋の花達が
今年は来ないの?と
待っていますよ
5年の治療の日々を
よく私は一緒に乗り越えて来られたなって
大学病院の病室からよく見ていた
様々な季節の空を思い出しています。


本当に今はもう終わったのですね


今日も祈りのうちに