祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

山あり谷あり

母の闘病記録


木曜日から金曜日にかけて
いよいよ呼吸停止の時が
やってきたかもと
私たち姉妹ほか孫たちも
母のベッドのまわりを囲んだ時間でしたが
土曜日に母は、少し持ち直した
という訪問の先生の診断でした。


先生には相変わらず
「大丈夫です」と、か細い声ながらも
笑顔を向ける母に
先生は、お茶目ですねと言いました。


日曜日になって
母は眠れないのか身体をしきりと
ゆっくりよじるような動きを
みせていました。


朝は薬を全てではないけれど飲めて
お水も水のみで少し飲めたけれど
夕方、痛みのあるような様子だったから
アブストラルを口に入れると
唾液が出ないせいか、中々溶けなくて
肩で呼吸をしていました。
「お母さん」と呼んでもうつろな目が
半開きのようになり
その状態で、夜遅くまで起きていました。
今にも呼吸がとまってしまいそうな様子でした。


今夜かな、と日曜日も家には帰れず
この日は母のそばに夜通し甥がついていたので
私は隣の部屋のリビングのソファで
横になっていました。


明け方の4時半ごろに起きて
母のそばに行きました。
母は、起きていて色々なことを
かすれ声で話しました。
始終にこやかで、笑顔をみせます。


誰かと話しているような様子や
突然、お祈りのように手を組んだり
「お祈りしているの?」と聞くと
にこっと笑うので
中高の時はこうやってお祈りしたんでしょう?
と聞くとうなずいていました。
母は広島のミッションスクールで
中高をすごしていたからです。
また、指で2を示したので聞くと
2人きた、と言います。
詳しく聞くと女性が2人で来たような
ことでした。
後で妹に言うと
2人のお母さんか会いにきたのかなと
言っていました。
母は、生まれてすぐに子供のいなかった夫婦に
引き取られたからです。


「あ、猫!」と言って私の後ろを指差し
廊下にいると言いました。
扉が閉まっていて廊下はみえないし
実家の猫たちはケージに入って寝ていました。


どうやら幻覚みたいな感じでした。
それでもずっと笑顔です。


月曜日の9時半にクリニックの訪問看護が来ました。
看護師さんは、丁寧に
バイタルなどをみて、母に優しく話してから
リビングに場所をかえて説明してくれました。
先生とも朝母のおくりで話して
土曜日に少し持ち直しとは聞いているけれど
血圧やサットはよくても
明らかに呼吸数が弱くなっている
どれくらい頑張れるかはわからないが
日の単位と思われると言われました。


その後、夜中起きていたせいか
少し寝始めました。
時々目を覚まして
にっこりしているので様子を聞くと
元気、と小さな声でこたえました。


母は認知症の麻酔が本当に素敵に効いて
ガン末期患者でありながら幸せいっぱいの
様子を見せてくれます。
かわいいかわいいおばあちゃまです。
こんなにかわいい母が
もうすぐ旅立ってしまうのです。


今日も祈りのうちに