祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

もう一度お別れ

明後日、夫の部屋の白い箱は
ようやく土に帰る日を迎えます。
遅くなってしまってごめんね…
そこに魂はないとわかっていながらも
ついつい白い箱に手を触れ
話しかけていました。


夫がさいごに暮らした部屋
今ではもう介護ベッドもないし
がらんとしてしまったけれど
いつも座って何か調べ物をしていた机に
向かって、私は時々座ってみます。


小さなノートに
左手で書いた夫の字
傷ついてしまった脳のために
いつも何かしら単語や文字
数独などをしていました。


でも、彼は勝手な人でもありました。
私との約束もそのままに
先に逝ってしまったのだから。
ひとり取り残された私


さようなら
さようなら
さようなら


もう一度さようなら
また会える日まで
寂しいけれど頑張る


過ぎ去った思い出の日々を
心の宝箱にしまって
私はまだもう少し人生の旅を
続けて行きます


今日も祈りのうちに