祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

孤独の波

調子の良い時もあれば
すごく気分が落ちる時もあり
言いようもない孤独の波に
おそわれて
深い海の底へ沈んで行くような
時があります


数えきれないくらい通った
大学病院の検査室や
待合室、化学療法を受けた腫瘍外来
MRIを待っている時に行ったスタバ
通院を兼ねて予約して入った
院内の床屋さん
時々待ち時間に行った
最上階のレストラン
手術の日に長男と待った広い休憩所
長い長い1日だったな、12時間以上
待った日でした。
夜になり休憩所も閉まり、病棟の小さな
家族待合室のソファに移動して
夜もふけてきたころに
妹がお弁当を持って来てくれました。


夜の10時を超えた頃に
呼ばれて先生からICがあって
その後にHICUに戻った夫に会った時は
別人のようで衝撃的でした。
かすかに先生が触れると指が動くくらいで
どんな人になるのだろうと思いました。
子供たちもショックだったと思います。


5月の末に手術をして
8月の末に退院して療養病院に転院しました。
身の回りのことはできるくらい
回復していました。
この3か月は夫はかなり悲観的で
涙したり、投げやりな感情だったり
そばにいることが辛かったです。


自分の物語を書きかえることが
すごく大変だったのだと思います。
主治医の先生から
できないことを嘆かずに
できる力をもっとできるようにしましょうと
励まされ、夫は右麻痺の手ではなく
左手で字を書く練習をはじめて
文字が書けるようになりました。


頑張ったな、って思います。


もっと残された時間に
話をしたり、一緒の時間を
過ごせばよかったと思うと
自分に余裕がなくて
心ある寄り添いが足りなかったと
思います。
そんな私を許してほしい


夫は先に行ってしまった
私は孤独の波の中で
今はもう届かないごめんなさいを
心で叫び続けているのです。


今日も祈りのうちに