祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

すれ違い

病気のせいだと思いますが

夫は気分にムラがあり、それが

健常時に比べて顕著です。


以前も大学病院にいた頃に

突然、すごく怒ってしまったことがあります

自分としては、最大限の優しさで

寄り添っているつもりなのに

そんなことがあると悲しくて

泣きたくなってしまいます。


昨日、家にある自分のノートパソコンと

見たい書類を持って来てほしいとの

リクエストがラインできて

その時はすでに外出していたから

明日ね、と言ったあたりから

機嫌が少し良くない


でも、書類については

夫の説明だけではわからなくて

今日、もう少し詳しく教えてと言ったら

なんでわからないのか

捨ててしまったのか、と

4人部屋で声が大きくなってきたから

部屋から逃げてしまいました。


不自由なことは

本当に辛いことと思う

その辛さはきっと本人にしかわからない

でも、私自身も正直辛い

お金のことも

自分のための時間がつくれないことも

それから、二人の老後という設計が

もう出来ないことも‥‥


家族や友人たちと時々出かけた山歩きも

もう一緒に行かれない


いつかみんなで行きたかった

涸沢の紅葉や

大好きな場所のひとつの

北アルプスの鏡池


こんな山深い場所には

どうしたって夫は行かれないのだ


喜びも感動も

悲しみも

この先、ひとりで心にとめながら

生きていくのだろう


夫といる今でさえ

わかりあえなく、すれ違いもある


この気持ちをどこにぶつけられようか


それでも私は、優しく笑いながら

夫もとを訪ねなくては‥‥


自分は健常で、夫は病気なのだから


今日も祈りのうちに