祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

2018年が終わる


平成最後の年末
2018年があと1日で終わります。
2019年、どんな年でしょうか
いつも先のことはわからずに年が明け
いろいろなことがあって年を越す
自分にとっては忘れられない2018年
平成30年になりました。


いちばん大きな出来事は
父を看取ったことでした。
初夏にホスピスを見て回り
梅雨が明けて夏が来てすぐに入院となった父
居間のソファに座って本を読んでいる父の姿は
なくなってしまいました。
病室の窓からみた夏空
白い雲、どこまでも青い空
ここから旅立つ日がいつくるのだろうと
毎日通った病院
病室に新聞を運んだ日々
静かに新聞を読む父のそばに
ただ静かにすわって時間を過ごした日々
時々、コーヒーを買っていくと
父は嬉しそうに一緒にコーヒーブレイクしました。


それも徐々に難しくなっていき
「もうコーヒーは買ってこなくていい」と言われたときの
言いようもない寂しさと悲しさが
今も心に残ります。


さいごの頃にもう言葉を発することもできなくなった
父のそばで
長い時間を過ごしたことがありました。
目を閉じて呼吸の早い父の顔を見ながら
小さな声でアベ・マリアを歌いました。
父は信者ではありませんが
天にのぼるときはきっとマリア様がご一緒して
くださると私は信じていました。


9月の夕暮れ
父は旅立っていきました。


私が捧げた時間は
神さまが祝福してくださると信じています。


次に5月のことです。
夫が高次機能障害施設を退所し
新しい生活、在宅生活に入りました。
手術してから2年目のことでした。
初めは障害者としての受けられる支援が不明瞭で
この先のことが思いやられ、
仕事を続けられるかも心配されましたが
なんとか介護も使えることになり
住宅を改修したり、ヘルパーさんが出入りすることになったり
家族にとっても新たな生活となりました。


2019年の春がくると
夫はなんと、術後3年目に入ります。
今の安定さから急変することは
考えられないのですが、
とにかく安定した状態が長く続いてくれることを
祈るばかりです。


10月
父が帰天してすぐのころに
長女の大学が決まりました。
父もとても楽しみにしていてくれたのですが
発表を待つことができなかったことが残念です。
彼女の第一志望の大学で専攻は看護科です。


それから自分も健康でいられますように。
来春大学4年生になる長男と
大学生になる長女のためにも
がんばって家族を支えていかれるようにしたいです。


この年末に、年齢の近い職場の人が
突然の病気で帰らぬ人となってしまいました。
夫も突然の発病でしたが
明日、どんなことがおこるかわからないということです。
突然おそわれるということは
後のことは自分にどうすることもできなくて
多くのことをやり残してしまうということです。


日々を大切に生き
いつも平和でいられますように
不穏を残したままになりませんように
そう思うようになったら
たとえ、誰かを許せないほどのことがあったとしても
すべてのことに何かしらの原因があり
あるいは、その人の性格によるものなのだと
少し時間が過ぎれば、そう思えるようになりました。


新しい年がやってきます。
2019年が希望に満ちた年でありますように
そして平成の30年間が
天の宝となって積まれますように


今日も祈りのうちに

研究者たち

先日、テレビでみたのですが
がんの早期発見につながる
積極的な検査の必要性と
その費用が高額でなければ
より多くの人が費用に悩まず検査を
受けられるようになる
= 早期発見 → 生存率アップ
あるいは病気の完治につながる
そういった検査の新しい方法として
線虫をつかっての検査が紹介されていました。


線虫を使ってガン検査する仕組みを考案したのは
九州大学助教授でこの研究のために会社を立ち上げた
広津氏
がん患者に特有のにおいがあることは
関係者の間では知られていて
そこからの発想で線虫をつかっての検査が
生まれたそうです。


この検査はシャーレの左側に人間の尿を垂らし
シャーレの真ん中に50~100匹の線虫を配置
左側の尿ががん患者のものだった場合
30分程度で線虫が左側に寄るというものです。
一方、健常者の場合は線虫は尿から遠ざかる結果に
なるそうです。


現在、胃がんや大腸がんなど10種類のがんについて
その有無を判断でき、検査の精度は9割以上まで
研究されているそうで、2020年には
この検査ができるようになるということでした。
線虫は安価で管理しやすく
検査する人も採尿だけですむため
がんの検査としては費用の面や身体的にも
負担が少なく済むということでした。


今はこの研究所では、発見されにくい膵臓がんの
検査の精度をあげるために研究をすすめているそうです。


脳腫瘍の発見は、時間的な問題もあり
あっというまにできるため
専門医の話だと、毎年高額な脳ドックをしていても
そのタイミングでは発見できずに
病気が進行してからの発見になってしまうことが
多いと言います。


さらに専門医はだからといって
毎月MRIをとるわけにはいかないし
年に何度も脳ドックを受けるということも
現実的ではないため
見つかった時にかなり腫瘍が大きくなっていても
不思議ではないそうです。


この線虫をつかったがん検査は初期がんに対しても
健康診断の時によく使われる血液をつかっての
腫瘍マーカーの検査を大幅にうわまわる
精度があるそうなので
これから一般的になることを期待したいです。


人間は将来どこかですべてのがんに
勝てる日がくるのでしょうか。


研究者の方たちに
応援と感謝をささげて
今日も祈りのうちに

~父の回想録~


夫が変わらずに安定しているので
9月に帰天した父に関する記録をします。


父が9月17日に永眠してから
3カ月がたちました。
ひとりの人が亡くなると
たちまち、数多くのことについての
手続きが発生します。


銀行預金等は相続の手続き中は凍結され
それを予測しての生前の引き出しについても
高額にすると後で面倒なことになるので
取り急ぎの母の生活費程度にするよう
銀行の担当者さんから言われました。
相続のことが一番時間がかかりますが
これは見た目に財産がなさそうであっても
負の遺産ではない限り
手続きが必要となります。
たとえば、生命保険は受取人が決まっていますが
医療保険などは、たいてい受け取りが本人なので
こちらは相続人が受け取ることになります。
そんなこんなで、3カ月がたった今も
未決のこともあります。
(別に相続でもめているわけではありません)
(もめるほどの状況にないので)


相続に関して記録にのこせば
本人の妻がひとりで相続する場合は
けっこう高額の控除等があり、良いのですが
ここで考えなければならないのが
二次相続のことです。
母が全てを相続したのち、次に母に万一の場合
子に相続がされるのですが
ここで額によって相続税が発生してきます。
その相続税対策については、早いうちから
考えておかなければ、いざ払う段階で
大変なことになりかねないのです。


というようなことで、現在は
非課税になる保険について、相談中です。


お金にかかわることなので
記録はここまでとなりますが
次にタイトルにもある「縁」についての記録です。


父は寡黙で自分のことはあまり語りませんでした。
年賀状なども自分で手書きしていたので
住所録などがPCに入っていなく
父の部屋にある郵便物などから判断して
喪中はがきなどを作ることになりました。
そうしているうちに、小学生で疎開していたころの
同級生たちのつながりなどが明らかになり
なんとかたどって手紙を送ったところ
疎開仲間のネットワークにつながって
広島(父の故郷)に行くことが合ったら
仲間たちで集い、父の話などをしたいとの
手紙が届きました。
80歳を過ぎた方からそう言われたら
会わないわけにはいかないと思い、
3月の納骨で広島に行くときには連絡をして
みようと思っています。
手紙には、「〇〇ちゃん」と、父の名前を
そんなふうに呼ぶ仲間たちに深い縁を感じました。


また、長年勤めた会社での仕事仲間からも
ともに悲しみを分かち合うような心温まる手紙が届きました。
妹と相談して父が読んでいた本と手紙を添えて
送ったら、こんな嬉しい手紙ははじめてだという
またしても涙を誘う心のこもった手紙が届きました。
編集の仕事だったので、昔ながらの手紙での
やりとりが自然で、文字を書くことによって
心の交流ができ、今の若い人たちには
できないことだと感じてしまいました。


実家は浄土真宗です。
親鸞聖人は人は縁によって生まれて
縁によって生き、縁によって死ぬことを
語っているようです。
父がなくなって以来、本当にたくさんの父が遺した
「縁」に出会い
私たち家族は今を生きているのです。


今日も祈りのうちに