祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

言葉のちから

大学病院での検査に問題なく
退院してきてから幾日もたっていないのに
今週の初めくらいに
夫は言葉が出にくくて
会話がうまく成り立たない日が
ありました。
昨日くらいから少しずつ回復して
来ていますが
言葉の出てこない夫が話そうとしている
内容を探し出すのに
とても苦労します。
時には夫もあきらめて
「もういい」といって
寝込んでしまったり・・・


それから考え方が
自分中心的なのにも困ってしまうのです。
もう少し協力的な考え
調和をもって生活してくれないか
こちらの状態などを考慮できずに
いまこれを片づけてほしいとか
そういったことを言います。


自分中心的と言えば
要介護1の母も、そんなところがあります。
都合の悪い話をスルーしてしまったり
自分の都合を優先だったりするのです。


介護の人がふたり
母は9月に父を亡くしたばかりで
ひとりきりにさせないために
休日はほとんど母のこと中心の生活です。


自分の自由な時間が減ってしまいました。
講話をきいたり
奉仕活動をしたり
何かに参加したくてもできない。
そういうことができていたころは
本当に幸せだったのだと思う
というか、自分の求める活動を
できる人は幸せな人だとおもう


とどまっている自分が
時々とてもせつなくなるのです。
今日も祈りのうちに

2018年11月MRI検査

11月5日から10日まで

検査入院でした。

今回は化学療法はなし

MRIとリハビリ方面からの検査でした。


MRIの結果は

前回少しだけ見えた怪しげなモヤモヤは

ほぼ消失

アバスチン再開しなくてもまだ

大丈夫でしょうということでした。

夫はとても安心した表情で

退院しました。


リハビリの検査というのは

言語も含めた多角的な検査のようで

疲れたりすることから一度にはできないので

数日かけて行うのだそうです。

この結果から、病状の早期発見にも

つながる場合があるらしく

MRIの度ではなくても

数ヶ月ごとにはしたいので

次は1月にMRIのみ

その次の3月にまたリハビリの検査をすることに

なりました。

1月は外来で

3月は入院という予定です。


リハビリの検査というのは30点満点で

2年半前の手術直前は30点

術後には15点

その後は徐々に回復してきて

29~30点という結果が出ているそうです。


その時々での調子もあり

うまく言葉の出ない日もあります。

コミュニケーションがとれずに

イライラしてしまうこともしばしば

何かしらの不自由を持つ人に

イライラを見せてしまうのは

虐待のように思えて

時々すごく落ち込み反省

でも、だから言って全て障害者の夫中心の

生活にはできません。


この悩みは永遠の課題でしょうか。


今日も祈りのうちに

葡萄

秋が深まり
葡萄の季節も終わります。
夏にはおいしかった葡萄が
今はなんとなく食べたいと思えなくなりました。


寒くなって来たせいもあるのですが
お買い物に行って葡萄を見ると
さいごに父から所望されたものが
葡萄だったことを思い出してしまうのです。


ホスピスに移った9月6日午後
訪室すると、ほとんど食べ物を
受け入れられなくなった父が
葡萄が食べたいというので
すぐに近所のコンビニへ車を走らせました。
コンビニにはお野菜、果物が
おいてあるのですが
その時に葡萄はなくて
もう少し離れた場所のスーパーへ行きました。
いろいろな種類の葡萄があった
父が食べてくれるなら、と
高価なシャインマスカットや
ピオーネなど、何種類か買って
病室へ戻りました。
気持ち的には宮沢賢治が瀕死の妹に
一杯の雪を求めて出かけるような
そんな心情でしょうか


私が遅いから父は心配していました。
どれがいい?と数種類のぶどうを見せると
黒にしようか、と
2粒ほど食べた父
残りは冷蔵庫にしまいましたが
その後、1~2回ほど葡萄を口にして
ほとばしる果汁だけ味わうと
飲み込めずにティッシュに出していました。
それも2粒くらいでした。


私たちはふだん食べることが
難しいなんて思わないものです。
飲み込むことが難しいことだなんて
想像ができなかった
たとえば認知が進んで嚥下が難しくなるとは
聞いていますが
会話のできる人が、食べ物を飲み込めないことが
そんなことあるのだと、初めて知りました


来年も葡萄を見ると
父と過ごしたさいごを思い出すのでしょう



夫は今日からMRIでの精査入院です
午後から大学病院へ連れて行きます
この夏に大切な人とお別れしたばかりです
今はしばらくこんなエネルギーは
ありません


神さまどうか、夫の検査結果が
良好でありますように
私たちをお守りください


今日も祈りのうちに