祈りのうちに

夫の突然の脳腫瘍、物語を書きかえながら、すべてを受け入れる
日々をつづりたいと思います

父の回想(2019年7月)

父の記録


父がさいごに入院した日から
7月20日で1年がたちました。


ホスピスへの登録をして待っていた電話
いよいよ連絡があった時は
待っていながらも、連絡がきてしまったみたいな
複雑な思いで受けたことが思い出されます。


仕事を休み、母を伴い父を病院に連れて行きました。
いつものように後ろの広めの座席に
ゆっくりと座った父でした。


その部屋にはみことばがありました。
「心を騒がすな 神を信じなさい」
(ヨハネ 14・1)
最初の入院病棟は一般病棟だったので
ここに1か月と少しいた間
父はずっと毎日このみことばと向き合っていました。


このみことばの続きは
「そして、わたしをも信じなさい。わたしの父の家には
住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために
場所を用意しに行くと言ったであろうか」


さらにこの14章には有名なみことばがあります。
「わたしは道であり、真理であり、命である。
わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことが
できない」
(ヨハネ 14・6)


父は浄土真宗のお寺のお墓に眠っていますが
私はカトリック信者なので
父がこのみことばとともに神様に受容されたと
信じているのです。


父が過ごしたさいごの病院が
キリスト教の病院だったことも大きな恵みだと
わたしには思えるのです。


来月はいよいよ新盆を迎えるので
(東京ではお盆が7月のため、実家では
すでにお盆のおつとめを終えています)
わたしは広島のお墓に行ってきます。
安芸門徒と呼ばれるこの地方の浄土真宗門徒は
新盆に白の紙灯ろうをお墓にたてます。


白の灯ろうはただ一度だけ
わたしはこのつとめを果たしに行こうと
思います。


今日も祈りのうちに

手術から3年

2016年の手術から3年を超えました。
5月31日に大学病院でMRI検査と診察がありました。
結果は特に動きなし
今年に入ってから、なんとなくの白い小さな影が
いくつか見えるのですが
大きくなることもなく、今のところ変わりなし
こういうものは自然消滅することもあるし
「再発」ともいえないものだそうです。
とはいっても、数か月も放っておくこともよくないので
やはり2か月後にはMRI検査をすることになりました。


こういう繰り返しの日々を
どれだけ長く過ごすことでしょうか。


検査のたびに、今度こそ何か言われるのでは?
突然の入院になったりはしないだろうか


いつもこの不安と隣り合わせです。


夫は主治医の先生に
足がだんだん弱っている
いつか歩けなくなりそうだ
と言っていました。


もうひとつ気になることがありました。
それはもともとなのですが
血圧が低く、通所のデイサービスでも
いつも心配されています。
先生のお話では低血圧のための治療薬は
ないそうです。
血液の循環を良くするために身体を活性化するような
生活をするとか、そんなことだと言われました。
「じゃ、お掃除してもらおうかな」と
私が提案すると先生は大笑い
こんなふうに笑うことができるのも
状態に変わりがないという結果があるからです。


帰り道に久しぶりに
二人で外食をしました。


4年目はどんなふうにすごしているのだろうか
5年目はあるのだろうか
脳腫瘍(悪性膠芽腫)の5年生存率10%
この数字は頭から消え去ることはありません。


今日も祈りのうちに

3年目

夫の体調はかわらず
大型連休が過ぎました。
このGWで病気の発症から3年目に入ります。
悪性の神経膠腫と診断されながら
3年目の5月を迎えている
一般的な5年生存率とかデータは
少し前のものをもとに発表されているから
日々更新されていく医療の進歩があるので
数字に惑わされないように先生から言われて
それでも、不安は取り除けない日々を暮らし
そんな中での3年目です。


ニュースを見ていたら
2016年の術後に使った治験薬の
オプシーボのことが出ていました。


厚生労働省は9日、免疫の仕組みを利用したがん治療薬「オプジーボ」を投与された患者11人が、副作用とみられる脳の機能障害を発症し、うち1人が死亡したとして、製造元の小野薬品工業(大阪市)に、薬の添付文書に重大な副作用として追記するよう指示した。
機能障害が起きたのは脳の下垂体で、成長ホルモンや性ホルモンなどの分泌に関わる部位。オプジーボの添付文書の「重要な基本的注意」に下垂体機能障害を追記し、投与中は定期的に下垂体の機能を検査するよう求めた。


こういう内容の記事でした。


夫は治験の1回目の時に
副作用とみられる高熱と薬疹が出て
中止になりました。
もちろん治験を受ける時は
オプシーボを実際に投与されるか
プラセボであるかは、教えてもらえません。
それでも、オプシーボ以外にもテモダールという
抗がん剤を併用だったので
たとえプラセボだったとしても
なんの治療もしていない状態にはならないので
治験を受けることにしました。


結果的にオプシーボかテモダールかの
アレルギーということになり
もう一度どちらであるかの実験などとうていできるわけもなく
どちらの薬も投与禁となったのです。
抗がん剤は、ニドランというテモダールよりも少し
前からあるものに変更になりました。


オプシーボは夢のような抗がん剤とも言われましたが
いくつか副作用の話をを聞いています。


脳腫瘍の患者と家族は
どんなものにもすがりたいような気持ちになると思う
完治する病気ではないから


同じくニュースで岡山大でがん抑制遺伝子の
「REIC」をアデノウィルスに組み込み
腫瘍に直接投与するという治験が始まるそうです。


こういうニュースには
過敏に目が行ってしまいます。


どこかで脳腫瘍が完治する時代が
来ますように・・・
新しい時代を迎えてせつに思います。


今日も祈りのうちに